資産運用を
コラム学ぼう!
Let's learn by column

BUSINESS

<2023年5⽉を振り返って>⼭内英貴

 米国をはじめとする物価動向には落ち着きも見えてきましたが、金融不安の一服もあり、金融政策の転換につながるようなものか否か、なかなか見えてこない状況が続いています。市場には警戒的な見方がまだ根強いものの、米国株は存外に堅調です。


 また、本当に久しぶりに日本株への関心が高まっています。為替で円売りヘッジをして日本株をロングすることで、①円建て株価上昇、②ドル円金利差、③さらには円安に動いた場合の為替差益も三重に享受できるという、円キャリー日本株トレードが注目されているようです。


 一方、今月は日米の金融政策決定会合が開催されます。一時に比べて市場の関心は退いた印象ですが、30年間に及ぶ過去に例をみない金融緩和と財政拡大の帰趨は、為替を含めて、長期的な方向性に多大なる影響があることは間違いなく、注視しています。


 GCIエンダウメントファンドは、オルタナティブ投資を含めた分散の高度化により、ポートフォリオのリスクをコントロールして、リスク・リターンの最大化を図ることを目指しています。一方、グローバルな分散ポートフォリオを運用していくうえで、為替リスクに対してどう取り組むのかは依然として大きな課題です。為替それ自体は、株や債券などの資産クラスと異なり、リターンの源泉を持つ投資対象ではないことから、円建てリスク・リターンの極大化のためにフルヘッジを貫いてきましたが、内外金利差の拡大からヘッジコストが高まっているのも事実です。


 次回9月前後のアニュアル・レビューに向けて、この問題をどう考えるか検討を進めていきます。


 いずれにせよ、短期・中期の変動に慌てることなく、常に変化し続ける環境にも右往左往することなく、グローバル経済の成長という果実を長期的安定的に蓄えていくことを徹底してまいります。