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BUSINESS

<2023年4⽉を振り返って>⼭内英貴

 米国地域金融機関の破綻やクレディスイスのUBSによる経営統合など、金融不安への漠然とした懸念がひとまず落ち着いた一方、主要国のインフレ動向はまだ予断を許さない状況が続いています。グローバルな人
流・物流や中国経済の回復期待など明るい材料もあり、株式市場は底堅さもみせていますが、なかなかすぐに楽観シナリオに戻ることにはなりそうもありません。 

 国内では日銀植田総裁の新体制がスタートし、拙速な変化は避ける慎重な立ち上がりに市場はひとまず安心した感もありますが、注目の賃金動向も含めて、国内のインフレ圧力の持続性には注意したいと思います。

 米国FRBも、コロナショック後しばらくは物価動向の見極めが遅れ、金融引締めが完全に後手に回ったことが2022年の混乱につながり、現在もまだ物価目標への鎮静化に成功したとはいえない状態が続いています。一年前と比べると、日銀に対する市場の関心が退いた印象ですが、30年間に及ぶ過去に例をみない金融緩和と財政拡大の帰趨は、為替を含めて、長期的な方向性に多大なる影響があることは間違いありません。

 GCIエンダウメントファンドは、オルタナティブ投資を含めた分散の高度化により、ポートフォリオのリスクをコントロールして、リスク・リターンの最大化を図ることを目指しています。一方、グローバルな分散ポートフォリオを運用していくうえで、為替リスクに対してどう取り組むのかは依然として大きな課題です。為替それ自体は、株や債券などの資産クラスと異なり、リターンの源泉を持つ投資対象ではないことから、円建てリスクリターンの極大化のためにフルヘッジを貫いてきましたが、内外金利差の拡大からヘッジコストが高まっているのも事実です。

 次回9月前後のアニュアル・レビューに向けて、この問題をどう考えるか検討を進めていきます。いずれにせよ、短期・中期の変動に慌てることなく、常に変化し続ける環境にも右往左往することなく、グローバル経済の成長という果実を長期的安定的に蓄えていくことを徹底してまいります。