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BUSINESS

<2022年2⽉を振り返って>⼭内英貴

ロシアによるウクライナ侵攻という信じ難いシナリオが現実となってしまいました。第二次大戦終結後は地域紛争こそ絶えませんでしたが、21世紀にこのような世界の安全保障体制を揺るがす事態が起こってしまい、なおかつ国際社会がなかなか制止できないことに嘆息を禁じ得ません。新型コロナ・ウイルスによるパンデミックに始まり、マーケットはテール・イベントに振り回されています。


年明け以降、インフレ懸念の台頭に対して中央銀行が後手に回ったことから、金利上昇圧力を受けてリスクオフが続いていましたが、ロシアによるウクライナ侵攻は一層の不確実性を高め、エネルギー需給への不安を通じたインフレ圧力の昂進にもつながりそうです。一方、地理的に近い欧州をはじめとする実体経済に対する悪影響への懸念も出てきました。インフレと景気悪化が併存するスタグフレーションは、政府・中央銀行にとって非常に厄介なものです。90年代以降の30年以上、金融緩和(金利低下)と財政拡大という政策に支えられてきた金融環境は大転換しつつあると思います。


パンデミックとウクライナ危機という先行き不透明な環境にあって、市場はしばらく荒れ模様が続きそうですが、ロシアによるウクライナ侵攻に対して西側諸国が結束を強めたり、エネルギー不安を受けて脱炭素化に対して各国が本腰になったりと、長い目でみると私たち人類と地球にとって歴史的な大きな転換点となる可能性もあります。大戦の世紀といわれる20世紀も、世界はそうして乗り越えてきました。


短期的には、市場は過剰反応する可能性もありますが、GC Iエンダウメントファンドは、市場の先行きを予想して当て続けることは不可能であるとの考え方に基づき、オルタナティブへの配分を含めたリスク分散を可能な限り行う設計となっています。長期資産運用にとって最も重要なのは「ブレずに継続する」ことです。引き続き「慎重なる楽観」という姿勢を崩さず、受益者のみなさまとともに、所定のリスクを取り続け、長期的なリターンの積上げを目指してまいります。