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BUSINESS

<2022年1⽉を振り返って>⼭内英貴

2022年に入り、にわかに市場のボラティリティが高まり、かつては「適温相場」と称された安心感が払しょくされつつあります。それはつまり、株式市場が動揺しても、FRBをはじめとする各国金融経済政策が下支えしてくれるとのコンセンサスでした。


先月号でも記したことですが、経済活動が回復に向かい、資産市場を支えた極端な緩和的政策の正常化が図られると、金融市場からは流動性が吸収されて金利には上昇圧力がかかります。コロナ禍を挟んで、2008年のリーマン・ショック以降、債券高(金利低下)と株高が共存する市場環境が続いてきましたが、とうとう転機を迎えたものと考えます。中央銀行が物価と金利をコントロールしている限り、資産市場が大きく崩れることを容認しないだろうというのが市場のコンセンサスだったのですが、FRBにしろ、ECBにしろ、予想を超えるスピードでのインフレの顕在化という事実を突きつけられて、腰を上げざるを得なくなった感もあります。
いずれにせよ、巨大なタンカーの方向転換を行うには、時間をかけて少しずつ舵を切っていく必要がありますので、今年の市場は相応にボラティリティが高まるのは避けられないと思います。


1月は米国株式を中心に、安全資産・逃避対象資産とされる国債を含めて、ほとんどの資産クラスが下落しました。GCIエンダウメントファンドの特徴であるヘッジファンドですが、1月は長期的なトレンドの転換点で貢献することができませんでしたが、足許の市場変動を織り込む格好で新たな環境に対応し始めています。当該戦略は、人間の定性判断で市場の未来を予測するのではなく、過去データに基づいて運用モデルがシステマティックにポートフォリオを構築していくため、環境変化への適応には少々時間を要するのですが、ポートフォリオ前提のリスク分散に貢献する構えに移行してきました。


今後の市場動向を的確に予測することは困難ですが、リーマン危機後12年間、もっといえば、主要国の金利水準が低下し続けてきた過去30年間とは環境が変わってくるという可能性も、まだリスクシナリオかもしれませんが、軽視できなくなってきたと考えています。
長期資産運用にとって最も重要なのは「ブレずに継続する」ことです。当月のような一定の変動は覚悟の上で、引き続き「慎重なる楽観」という姿勢を崩さず、受益者のみなさまとともに、所定のリスクを取り続け、長期的なリターンの積上げを目指してまいります。