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BUSINESS

<2020年5⽉を振り返って>⼭内英貴

‘Don’t fight the Fed.’

  Fedと闘うな(中央銀行と闘うな)というマーケットの格言を地でいくような動きです。Fed(米国連邦準備制度)が決定する金融政策は金融資本市場に与える影響が大きく、その打ち出す政策に逆らわずに素直に従え、という市場で知られた「格言」です。今回は、これに破格の財政支出がセットとなり、主要国が足並みをそろえた金融財政出動となった結果、少なくとも一時的に市場の売り手が引いたような感じです。

  政策は魔法ではありません。過去を振り返れば、日本やIT、米国サブプライムのようなバブルにつながり、長期的には予期せぬ弊害をもたらすこともありますので、安易な市場下支えや財政出動は警戒されるのですが、今回は、

・金融機関による過大なリスクテイクやIT企業に対する過大評価などが招いた過去の危機と違って、新型コロナ・ウイルスという人類共通の敵との闘いであること、
・したがって、世界の政府・中央銀行が一丸となり、税金を使ってでも総力をあげて立ち向かうことに対する世論の違和感がないこと、

から、過去に例をみない規模の政策が迅速に繰り出されました。マーケットは素直にその流れに乗っているといえるでしょう。

  ブラックマンデー型のV字回復か、それともITバブル崩壊・リーマン危機型の2番底がくるのか、注目してきましたが、少なくともここまでは、

  ①金融マーケットはV字回復シナリオ、  
  ②実態経済は、回復の光がみえてきたものの、必ずしも楽観できず、

という展開です。①と②の乖離は、いずれその溝を埋める形で修正されると思いますが、米中摩擦や米国大統領選挙、香港問題や途上国経済の債務不安などなど、②につながりかねない厄介な材料を踏まえても、「中央銀行と闘うな」がいまのマーケットの合言葉です。

  後講釈してみると意外と単純な構図にもみえますが、まだまだ今後も山あり谷ありだと考えておくべきでしょう。ただし、第一次コロナショック相場での私たちへの教訓は、またしても過去と同じことだったと思います。それは、長期運用にとって、マーケットがパニックの中でも予め決めた運用の枠組み、ポートフォリオを継続することが大切だということです。耐えられなくて止めてしまうことはNGです。長い道中では、とくに相対的にみると、うまくいくことも、もたもたしてしまうこともありますが、当ファンドは米国大学エンダウメントモデルの枠組みを堅持し、整斉と長期運用を継続してまいります。