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「ヘッジファンド」とは?特徴や種類を徹底解説!

ヘッジファンドの特徴

ヘッジファンドは、広い意味での投資信託の一種で、主に下記のような特徴を持ったものを指します。

・柔軟な運用手法を用いることが出来る
・絶対リターンの獲得を目的としている
・運用報酬として成功報酬体系を用いている

ヘッジファンドの投資対象と運用手法

ヘッジファンドは、伝統的資産と呼ばれる株式や債券・金利、及びその派生商品(デリバティブ)や為替を投資対象とするものが一般的です。それらの資産に対して、後述する空売りやレバレッジといった、伝統的な投資では用いられない手法も駆使することで、安定的に高いリターンを獲得することを目指します。
空売りは、自身が持っていない株式や債券でも、他者から一定期間借り受け、それを売却することで利益を得ようとするものです。借りた株を市場で売却し、その後、予想通りに株価が下落した場合には、売却した価格よりも低い価格で株を買い戻すことによって、利益が得られます。
レバレッジとは、証券会社などから資金を借りることで、実際に自身で持つ資金以上の規模の資産を運用することが出来る仕組みです。当然、資金を借りるには金利が発生しますが、それ以上のリターンを市場で上げることが出来ればプラスとなります。またレバレッジの目的には、リスク量を増やしさらに高いリターンを目指すものもあれば、リスク量を削減するためのヘッジポジションを、レバレッジを元手に構築するケースもあります。

ヘッジファンドが目指す「絶対リターン」とは

一般的に資産運用には、ベンチマークと呼ばれる運用成果を測る基準が存在します。ベンチマークには、株式運用であれば、市場全体の動きを示すインデックス(日本株であればTOPIXや日経平均が知られています)が用いられます。一般的な運用手法に対する評価は、このベンチマークを一定期間内で上回ったか、下回ったかで測られます。
一方で、ヘッジファンドに期待される「絶対リターン」は、上記のようなベンチマーク対比での優劣ではありません。あくまで、過去のある時点に比較して、その資産額が増加しているかどうかで評価されます。つまり、相場が上昇局面にあろうと下降局面にあろうと、常にプラスのリターンを出し続けることを期待されているのです。

ヘッジファンドが用いる報酬体系「成功報酬」

ヘッジファンドを特徴づけるものに成功報酬があります。通常、資産運用に対する報酬は、預ける資産の金額に対し、一定の料率で課される、固定報酬体系が一般的です。ヘッジファンドはその固定報酬に加え、実際に運用を通じて得られた利益の一部を、成功報酬として運用マネジャーに配分する仕組みを持つものが一般的です。仮に、成功報酬20%と定められるヘッジファンドで、30%の値上がり益が得られた場合は、利益30%×成功報酬率20%=値上がり益の6%を運用者に配分することになります。
これは、ファンドマネジャーがより高いリターンを上げようとする、強い動機づけになると言われています。一般的な固定報酬が、その期間の運用成果に関わらず一定額の報酬が支払われるのに対し、成功報酬は、ファンドマネジャーがリターンを上げることが出来なければ報酬を得ることが出来ません。その意味では、投資家とファンドマネジャーの双方が、リターン獲得という同じベクトルを持つことが出来る仕組みと言えます。また固定報酬のみを徴収するファンドは、運用規模が大きくなるとそれに応じて報酬額が増加するために、リスクテイクを行わなくなる傾向にあるとも言われています。一方で成功報酬体系であれば、ファンドの規模に関わらず常にリターンを上げる必要があるため、運用への十分なリスクテイクを常に行わせることが出来ると言えます。

ヘッジファンドの種類

ヘッジファンドは、用いる手法によっていくつかの種類に分類されています。
下記にいくつかの代表的な戦略を紹介します。

①株式ロングショート


ここでいうロングとは買い、ショートとは売りのことを指します。株式ロングショートは、通常の株式投資と同じようにロングを行いながら、同時にショートも組み合わせることで、安定的な収益獲得を目指すものです。
ロングには、相対的に値上がりが期待できる銘柄群を、ショートには値下がりが見込まれる銘柄群を選びます。市場全体が値下がりする局面でもショートからは収益の獲得が期待できるため、ロングだけの投資に比べて市場変動リスクを抑制しながら個別銘柄からの収益の獲得を期待できます。
ショートポジションの構築には前述のレバレッジを活用するのが一般的です。例えば、100%のロングポジションに対して、さらに100%のショートポジションを組み合わせ、合計200%のポジションでリスクをコントロールしながら収益の獲得を狙うことが可能です。

②グローバルマクロ


かつては最も代表的なヘッジファンド戦略で、ジョージ・ソロスなどの著名なファンドマネジャーもここに属します。株式・為替・金利など様々な金融資産を投資対象とし、グローバルなマクロ経済、政治環境の判断による市場の上昇、下落を当てにいったり、市場に生じた価格形成の歪みなどを捉え、ファンドマネジャーの判断でポジションを構築するのが特徴です。市場全体の認識(コンセンサス)や市場間の相関が崩れるタイミングで生まれる市場の動きから収益を生むことが多く、このような潜在的な投資機会を独自の相場観で政治経済、地政学の動きから判断するファンドマネジャーが優秀とされます。

③マネージド・フューチャーズ


主に金融・商品先物を投資対象とし、人間の判断というよりはシステムによって市場トレンドを捕捉し、順張りで投資する「トレンド・フォロー」と呼ばれる手法を採るのが一般的です。市場の予測は不可能という立場にたち、発生したトレンドに対し、いかに早く対応するかで勝負する戦略とも言えます。市場の上昇・下落トレンドは常に存在するものではないため、トレンドが無い時期にはパフォーマンスが出にくい傾向があります。一方で、金融危機など、下落方向でもトレンドが生じれば、ショートポジションによって大きな収益を獲得することが可能で、古くから伝統的資産のパフォーマンスとは低い相関にあることが知られています。