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オルタナティブ投資を考える際に知ってほしい、4つのリスク

オルタナティブ投資を考えるにあたって注意しなければならないことにはどのようなものがあるのでしょうか。オルタナティブ投資を始めるにあたってのリスクをまとめてみました。

(1) 流動性リスク

オルタナティブ投資に限らず、資産運用を行う際には流動性に気をつけなければいけません。

一般的な投資信託の場合は、日々の買付・解約が可能となっているため、換金性には問題ありません。しかし、オルタナティブ投資の場合は、それぞれの戦略にもよりますが、月々や四半期ごとにしか解約を認めないという事例がほとんどです。
これは、運用者側にとっては、資金の流出入が安定的で、長期的にコミットしてもらえる方が、運用がしやすいというメリットがあり、投資家側においても、長期投資家であればあるほど短期の資金流出入によって、パフォーマンスが悪化することを避けられるというメリットがあるからです。
また、解約が集中した際には、解約額の上限を設定するゲート(gate)といわれる制限条項や、解約困難な資産を別クラスに移行させるサイドポケット(side pocket)と呼ばれる、流動性を制限する条項があることも知っておかなければなりません。

(2) キャパシティ(Capacity)

この言葉は、超過収益(α アルファ)を生み出すことができる適切な運用規模を指します。

資産運用には、効率的な運用を実現するための適切な運用規模(上限)が存在します。あまりに巨額の資金を規模の小さい市場で運用すると、十分なパフォーマンスを得ることが難しくなります。例えば、発行残高の少ない株式に多くの資金を投じると、自身の売買が株価に影響を与えてしまったり、売却が難しくなってしまったりすることもあります。これは、売る時も買う時も、希望の値段での取引が困難になることを意味しており、結果、思ったようなパフォーマンスを上げられないことに繋がります。

投資対象資産の市場規模に対して、必要以上の資金が集まってしまい、思ったような運用ができなくなること、つまり運用のキャパシティを越えてしまうことも、投資のリスクの一つと言えます。

(3) 集中投資リスク(concentration risk)

集中投資リスクとは、ある一定の資産クラスに、資金を集中的に投資することで起こりえるリスクのことです。

例えば、かつてのLTCM(Long Term Capital Management)がロシア国債に集中投資したところ、ロシアのデフォルトに遭遇し、1998年に破産したことがありました。
特に、ヘッジファンドはレバレッジをかけますので、レバレッジの倍数分、集中投資リスクが高まります。ロング・オンリーであればじっと我慢して銘柄を保有していれば、回復することも考えられます。
ところが、ヘッジファンドの場合は資金コストがかかってきますので、手仕舞いをさせられたり、清算させられたりするリスクが発生します。
組入れ銘柄や戦略の集中には、注意をしておくべきでしょう。

(4) スタイル・ドリフト(style drift)

投資スタイルを変えていくことを、スタイル・ドリフトといいます。

儲からなくなった戦略から、儲かるであろう戦略にシフトするのはいいのですが、変更前のリスク管理手法が、変更後のスタイルにも使えるかどうかは未知数です。
ロング・オンリーでもヘッジファンドでもそうですが、投資スタイルを猫の目のように変更していくマネジャーには要注意です。
特に、ファンド名に成長株投資とかバリュー株投資と謳っておきながら、中身はそれと整合性が取れないファンドも多々あります。
投資信託でもヘッジファンドでも、しっかりそのファンドの月次報告書や運用報告書に目を通し、実質的なスタイルがどのようになっているかを確認しましょう。