<2025年3月を振り返って>山内英貴

3月を通じて市場の不透明感が増し、4月に入るとさらに大荒れの様相です。
今回のリスクオフは、政策が直接の引き金となっている点が過去のものとは異なります。ITバブル崩壊も、リーマンショックも、コロナショックも、市場の歪みが限界を超えたり、外的要因などから生じた経済活動への深刻な影響に対して、経済政策は市場を守る側でした。着地点が見えない中、不透明感を嫌って市場参加者がリスク回避行動を一斉にとり始めると、市場のボラティリティが上昇し、それ自体が追加的なリスク回避を促すという展開となっています。
長期投資の立場からは、「慌てての損切り」や「値ごろ感からの買い」などの拙速となりかねない行動は極力避け、じっと耐えたいところです。もう一点、「日経平均の下落幅は史上三番目」などと連日報道される日本のメディアに接していると、大暴落のように感じるかもしれませんが、投資家として重要なのは、あくまで下落「率」です。「幅」の大きさはあまり気にしないでください。
前号の繰り返しになりますが、二国間の関税交渉などトランプ政権の個別の政策を評価しても全体感は見えてきません。財政収支と貿易収支の不均衡是正という目標の先に、その結果としての米国の国力強化を見据えている以上、経済を痛めつけることはそもそも本意ではないでしょう。
一度リスクオフの荒れ相場が始まると、簡単に元には戻れず、しばらくは不安定な展開が続くと思いますが、長期スタンスで乗り越えましょう。
GCIエンダウメントファンドの骨子は、リスク管理を最優先した「長期分散」投資をシステマティックに継続することです。インフレ的な環境でグローバル経済の成長から果実を期待できる株式と、市場のボラティリティを収益源のひとつとして債券に代替し得るヘッジファンドをポートフォリオの中核として、円ベースでのリスク管理を最優先し、安定的な成果を受益者のみなさまとともに目指してまいります。