<2025年1⽉を振り返って>⼭内英貴

市場が固唾を飲んで見守っていた米国トランプ政権の船出は、関税賦課やDeepSeekの出現など月中に振らされる場面こそありましたが、株式市場はプラス圏で終えました。米国で懸念された長期金利の上昇も5%を手前に一服し、米国株式市場は落ち着いています。また、日銀の利上げも無難に通過しました。
米国トランプ政権の政策が、ボクシングのジャブのように断片的に繰り出されていますが、全体像としてみると、「アメリカ・ファースト」や関税賦課など、マーケットに対する影響度合いがはっきりしないが故に、潜在的リスクとしてみられているものが少なくありませんが、ここは個別の政策ひとつひとつを評価するのではなく、トランプ政権が最終的に向かおうとしている目標(ゴール)を認識する方がいいのではないかと考えています。
私見では、「小さな政府」による民間主導の経済成長を志向し、過度で悪平等な政策的分配をできるだけ減らすことにより、長期的に持続困難な米国の「双子の赤字」を減らしていくことが大目標であり、それは結果的にマーケット・フレンドリーなものになると考えています。換言すれば、諸政策の結果として米国経済を悪化させ、結果的に米国株式市場が下落し、米国民の富が減じるような政策は志向されないということです。
20世紀後半から続いてきたディスインフレ的な市場環境が終息し、40年ほどの周期でみて新たな局面に入りました。過去40年間のグローバル化が調整局面に入り、ディスインフレの反動が出るということです。この見方が間違っていないとするならば、物価調整後の実質リターンでみるとき、株式はプラス、債券はマイナス、金はニュートラルとなります。ひとつ不明なのは、通貨間の相対価値である為替市場の行方です。そして、このような見解を前提に、当戦略は基本ポートフォリオを構築しています。
GCIエンダウメントファンドの骨子は、リスク管理を最優先した「長期分散」投資をシステマティックに継続することです。インフレ的な環境でグローバル経済の成長から果実を期待できる株式と、市場のボラティリティを収益源のひとつとして債券に代替し得るヘッジファンドをポートフォリオの中核として、円ベースでのリスク管理を最優先し、安定的な成果を受益者のみなさまとともに目指してまいります。