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ファンドマネジャーにとっての重要課題:流動性確保

最近の資産運用マーケットでの話題といえば、流動性です。

東証一部上場の売買代金トップの個別株と、東証マザーズの出来高最低の個別株で流動性に大きな差があるのはお分かりいただけるかと思います。前者はマーケットがクラッシュしても売るには売れますが、後者は場が立たず、売るに売れません。

2008年のリーマン・ショック以降の低金利・低成長率下、金融機関は様々な規制によりマーケット・メイク業務(投資銀行や証券会社が市場で相対取引することで、市場の流動性を担保する)に制限がかかるようになり、市場全体の流動性が低くなってきました。

その結果、”何とかショック”(最近では”トランプ・ショック”の日本株)で、日経平均株価株価が一日1000円(6-7%)も乱高下することも多くなってきています。これは何も日本だけの出来事だけではなく、世界的に金融市場のボラティリティは上がっていて、ちょっとした話題でリスク・オフに陥りやすい環境になっているように感じます。もちろん株価だけではなく、為替・債券でも同じような傾向があると感じています。

こうした中、投資家はどうすべきか。大手運運用会社のState Street Corporation と Alternative Investment Management Association (AIMA)は、流動性を管理する対処法を提言しています。

1.流動性リスクの”見える化”を図る

流動性低下による複雑化した市場を分析するため、投資戦略の見直しや流動性管理ツールの導入を図る必要がある。同社調査対象の半数近くが流動性管理の困難さを訴え、より高いレベルでの流動性を管理する必要があると考えている。

2.ポートフォリオの流動性向上

ポートフォリオ全体の流動性確保のため、投資家もファンドマネジャーもETF、UCITSファンド(欧州統一規則投資信託)、米国40Act法準拠ファンドに対する運用残高を増やす傾向にある。やはりこちらも、半数以上の回答者が流動性資産への分散を進め、現金保有率も増加させているようです。

3.新しい運用手法での投資

流動性確保の観点から、市場関係者はいわゆるソーシャル・レンディングのような形式での資金運用や調達に活路を見出そうとしている。実際、調査対象の約半数がノンバンクやヘッジファンドが流動性を提供する上で重要な役割を果たしていると回答している。特に、市場が荒れてボラティリティが高まった際には、ヘッジファンドの果たす役割は大きいと考えられている。

そう遠くない将来に、投資信託をはじめとする金融商品が更に小口化し、複雑なヘッジファンドでも毎日売買できるような環境になってくるかもしれません。そういう意味では、FINTECHが絡んで、流動性がないとされてきた金融商品の流動性が改善されていくかもしれませんね。