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<2025年4月を振り返って>山内英貴

 関税ショックともいえる相場の混乱は徐々に落ち着きを取り戻し、5月に入ると明るいニュースも届き始めました。そうはいっても、米国と各国の関税交渉はまだ始まったばかりで、交渉が妥結、収束した訳ではありませんし、一度跳ねた市場のボラティリティは、それ自体が自律的に市場変動を高める面がありますので、今後もしばらくはこうした環境が続くものと考えておいたほうがよさそうです。
 また、そもそも関税交渉は、トランプ政権が政策課題と考えている財政と対外収支という『双子の赤字』改善のためのひとつの手段であり、政策の目的ではないという点は改めて念頭に置きたいと思います。
 第二次大戦後、いまの国際政治経済体制の枠組みの下、盟主となった米国がその負担に耐えかねたように、構造的な変革を目指した政策対応が2度ありました。
 一つ目が1971年のニクソン・ショック。中国との電撃的国交回復とドルの金本位制からの離脱を敢行し、為替は変動相場制に移行しました。
 二つ目は1980年代のレーガノミクス。インフレ退治のための高金利政策と、軍事支出の拡大・大規模減税という一見突拍子もないポリシーミックスでしたが、1985年のプラザ合意によるドル安誘導を経て、冷戦を終結に導きます。
 その後、冷戦終結以降のグローバル化により、平和と経済成長という果実は得たものの、リーマン危機やコロナ禍もあり、財政・対外収支不均衡や二極化による社会の分断などの歪みが看過できなくなってきたうえ、中国の台頭など地政学的要因も危機感につながっているのではないかと思います。
 個別単発の政策をいちいち評価しようとすると右往左往しますが、既得権益や旧態依然としたものを劇的に変革するゲームチェンジャーとして第2次トランプ政権を敢えてポジティブに捉えるなら、日本のようになかなか内側から殻を破ることが難しい国と違い、これこそ米国のダイナミズムといえるかもしれません。
 一度リスクオフの荒れ相場が始まると、簡単に元には戻れず、しばらくは不安定な展開が続くと思いますが、長期スタンスで乗り越えましょう。GCIエンダウメントファンドの骨子は、リスク管理を最優先した「長期分散」投資をシステマティックに継続することです。インフレ的な環境でグローバル経済の成長から果実を期待できる株式と、市場のボラティリティを収益源のひとつとして債券に代替し得るヘッジファンドをポートフォリオの中核として、円ベースでのリスク管理を最優先し、安定的な成果を受益者のみなさまとともに目指してまいります。