<2024年4⽉を振り返って>⼭内英貴
4月は、米国の早期利下げ観測が後退し、1‐3月に進行した株高に対する調整が入りました。しかしながら、その背景にあるのは米国のインフレ長期化につながる経済の底堅さですので、米国経済に対する市場の信頼自体が揺らいでいるわけではない点は頭に入れておきたいところです。
また、日銀が金融政策正常化に向けて政策金利を引上げました。3月の日経平均史上最高値更新に続き、バブル崩壊後の長期低迷からの脱却を象徴するようなニュースです。日銀の政策変更にもかかわらず円安が続く為替市場からの影響もあり、日本株は4月後半にかけて3月の高値圏から10%程度調整しましたが、基調は米国株同様に底堅さを感じます。
日銀の金融政策正常化は、今後も慎重に進められるというのが市場コンセンサスですが、政治的なイベントを日米両国が抱える中で、日米金利差が主因とされるドル高円安が日銀にとって軽視できない材料となる可能性もあり、引き続き、金利・債券市場の動向には注意したいところです。
当月は、このような調整的な動きを受けて、成長型では新興国株・国内リート・ヘッジファンド、安定型では国内リート・ヘッジファンドを除くすべての資産クラスがマイナスとなりました。為替市場では一時160円水準まで円安が進んだ後、日本の通貨当局による為替介入観測などもあり、GWにかけて比較的大きな変動がありました。4月を通してみると円安が進行しており、金利差要因と円安に伴うヘッジコストが当月のマイナス要因となっています。しかしながら、為替市場ではテーマ次第で大きなトレンド転換が起きることが過去にも繰り返されており、75円台から150円台まで十年以上かけて大幅な円安が進んだ水準にあることも踏まえ、為替リスクを原則ヘッジするという基本方針は維持します。
引き続き、円ベースの期待リスク水準(成長型:年率8%、安定型:年率5%)を一定に保つ戦略ポートフォリオの原則を堅持し、さらにオルタナティブ投資を活用した分散の高度化により、リスク・リターンの最大化を目指してまいります。短期・中期の変動に振らされずに、変化し続ける環境にも右往左往することなく、グローバル経済の成長という果実を長期的に蓄えていく運用を徹底してまいります。