<今月の視点> 山内英貴
9月の金融市場は、株式、債券、不動産投資信託(REIT)がそろって下落しました。
当ファンドは、成長型が+0.7%、安定型が+0.2%となりました。組入資産のうちプラスに寄与したのはヘッジファンドだけで、日本株、先進国株、新興国株、債券、国内・海外のREITはいずれもマイナスとなりました。また、為替は円高となりましたが、為替ヘッジも効果を発揮しています。
今回注目したいのは、株式と債券が同じ方向に動いたという点です。9月は、日米欧の中央銀行がそろって利上げを行い、米国の10年国債利回りは約19年ぶり、日本は約30年ぶりの水準まで上昇しました。金利の上昇は債券価格を押し下げると同時に、株式やREITの評価にも影響します。株式が下がる局面で債券が支えるという、低金利の時代に当然と考えられてきた関係が、この月には働きませんでした。
先月、ヘッジファンドについて「本当に問われるのは、市場環境が変化したときに、株式とは異なるリターン源泉として機能するかどうか」と書きました。9月は、その問いに一つの答えが出た月だったと考えています。当ファンドが組み入れる2つのヘッジファンドは、金利の上昇という環境の変化を収益の機会とし、ともに月間でプラスの寄与となりました。株式と債券がそろって下落した月に、それらとは異なる要因から収益を得たことになります。
一方で、今回の基本資産配分の見直しでは、ヘッジファンドの比率を引き下げ、その一部を株式に振り向けました。この1か月の結果とは逆の判断に見えるかもしれません。しかし、基本資産配分は、その月の成績ではなく、長期の期待リターンや各資産がポートフォリオで果たす役割を踏まえて決めるものです。ヘッジファンドの役割が変わったわけではなく、株式や債券とは異なるリターン源泉として、引き続きポートフォリオの重要な柱と位置づけています。
これは、ビッグ・ピクチャーでご紹介した「Adaptive Endowment」の考え方そのものです。市場の短期的な動きに合わせて資産配分を頻繁に変えるのではなく、長期分散投資という原則を維持しながら、経済や市場の前提そのものが変化したと判断したときには、その実装を見直していく。原則は不変、実装は可変、という考え方です。
一つの月の結果で判断を変えることはしません。ただ、異なる環境で機能する複数のリターン源泉を組み合わせておくことの意味は、こうした月にこそ確かめられるのだと考えています。市場環境の変化を丁寧に捉えながら、長期の資産形成につながる判断を積み重ねてまいります。
ファウンダー・代表取締役CEO兼社長 山内英貴
※上記コメントは、2026年10月5日に作成したものです。