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BUSINESS

<2023年3⽉を振り返って>⼭内英貴

 インフレの行方と金融政策の動向に市場の注目が集まっていた中、3月に入って、SVBなど米国地域金融機関の経営不安とスイスの大手金融機関クレディ・スイスの救済合併という金融システム不安が顕在化しました。市場では2008年のリーマン・ショックを想起する声も上がりましたが、当時の苦い経験も踏まえた規制当局の素早く毅然とした対応により、連鎖的な波及は回避され、市場も月末までにはだいぶ落ち着きを取り戻した感があります。

 こうした一連の問題は、長らく続いた緩和的な環境からの政策転換の中で、局所的に流動性に問題が生じたという古典的なものですが、市場としてはマークしていなかったものだったことから、一時的にはリスクオフの反応となり、安全資産としての国債が買われて長期金利は大きく低下し、為替もドル安円高が進行しました。

 急速かつ短期的なトレンド転換を受け、GCIエンダウメントファンドの特徴であるヘッジファンド(オルタナティブ投資部分)は中長期的なトレンドフォロー戦略を主体としていることから、当月のパフォーマンスとしてはマイナス寄与となりましたが、一時的な急変動の収束後は、どちらの方向に向かうにせよ回復に向かうものと考えています。

 昨年来、市場センチメントは四半期くらいの周期で揺れています。かつての大規模かつ長期的な金融緩和を背景に株式・債券が上昇を続けるような環境に戻ることはないでしょう。長期投資には、ある程度のボラティリティは許容して、時間を味方につける辛抱が必要です。こうした環境では、GCIエンダウメントファンドの特徴であるオルタナティブ投資を活用した分散効果が長い目でみてポートフォリオの安定に寄与するものと考えています。

 引き続き、短期・中期の変動に慌てることなく、グローバル経済の成長という果実を長期的安定的に蓄えていくことを徹底してまいります。