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BUSINESS

<2022年9⽉を振り返って>⼭内英貴

 相変わらず、インフレとロシアによるウクライナ侵攻など、今年の市場を大きく動かしてきた材料に月替わりで振り回されるような状況が続いています。グローバルなサプライ・チェーンが動揺し、インフレ抑制に手間どる中、FRBは景気後退リスクを覚悟の上でインフレ退治を優先する姿勢を明確にしています。その結果、市場コンセンサスを上回るドル金利上昇とそれを受けたドル高が進み、依然として金融緩和姿勢を変えない日銀の突出ぶりが際立っています。

 今月は、基本資産配分とその前提となるビッグ・ピクチャーの見直しを行っています(詳しくは月次レポート内の<基本資産配分><ビッグ・ピクチャー>の項目をご覧ください)。

 当月のポートフォリオへの貢献度をみると、オルタナティブ(ヘッジファンド)を除くすべての資産がマイナスとなり、急速なドル高円安から為替ヘッジ要因のマイナスが大きくなっています。仮に為替ヘッジを行わなかったとすると、各資産のマイナスを円安による為替評価益が相殺したはずですが、先月も申し上げた通り、ドル円の今後については長期的に円高方向に調整するリスクが小さくないと考えており、フルヘッジを維持する方針です。

 もともと、GCIエンダウメントファンドのコンセプトは、所定の期待リスク(成長型8%、安定型5%)を取り続ける対価として、結果的により高いリターンを獲得していくという考え方です。市場が大きく動いたこの一年間で測っても、リスク(実績)は成長型8%程度、安定型5%程度とほぼ目標通りとなっており、運用方針の根幹は堅持してまいります。

 市場を動かす要因が、欧州・アジアの地政学的材料からグローバルなインフレ、そして中央銀行の政策変更に至るまで多岐にわたっており、また、英国の減税策や日本の為替介入など、政策全体の調和や各国の協調にはチグハグな対応が散見されます。引き続きボラティリティの高い環境が続くと思われますが、GCIエンダウメントファンドではオルタナティブがその安定化を担います。

 グローバル経済が長期的に成長する限り、資産価格はいずれどこかで底打ちし、忍耐強い投資家にリターンをもたらすことになります。GCIエンダウメントファンドは、市場の先行きを予想して当て続けることは不可能であるとの考え方に基づき、オルタナティブへの配分を含めたリスク分散を可能な限り行う設計となっています。引き続き「慎重なる楽観」という姿勢を崩さず、受益者のみなさまとともに、所定のリスクを取り続け、長期的なリターンの積上げを目指してまいります。