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BUSINESS

<2021年5⽉を振り返って>⼭内英貴

 日本でもようやくワクチン接種が本格化し始めましたが、先行する米国や欧州諸国では経済活動の再開が本格化してきました。このことは、政策的に支えられたウイズコロナの金融相場から、ポストコロナの本格的業績相場への移行を示唆するグッドニュースです。
しかしながら、バッドニュースとしては、逆にそれが引き金となってインフレ懸念が高まり、長期金利の上昇と資産価格の調整が起こることを市場は警戒しています。


 上昇が続いてきた資産価格と低迷する実態経済の乖離を懸念する市場関係者は少なくありませんが、この現象はコロナ禍固有のものではなく、2008年のリーマン危機以降、さらに遡れば1980年前後から40年間続いてきた世界的な金利低下を背景としています。コロナ禍とそれに対する財政金融政策対応がそのトレンドを結果的に強化し、「金利のない世界」がやってきました。


 実態経済をみた場合、コロナショックが契機となって、私たちの働き方・暮らし方が大きく変わり、それに沿ったイノベーションがグローバル経済の原動力になっていくのかもしれません。また、我慢の続く家計には、政府財政悪化と引き換えに潤沢な購買力が蓄えられており、それが解放された場合にはむしろ景気が思いのほか回復していくポジティブサプライズの可能性もあると思います。


 そう考えると、明るい未来を展望できますが、長期投資という観点では、長らく機能してきた資産間の分散効果が期待しづらくなり、いま起こっている株式やリスク資産への資本フローがむしろ潜在的なリスクを拡大しているのではないかと懸念しています。


 GCIエンダウメントファンドは、オルタナティブ投資を活用することにより、そうした潜在的なリスクにも構えながら、グローバルな構造改革とそれに伴う成長からのリターンをじっくりと積上げていくスタンスです。引き続き「慎重なる楽観」という姿勢で、受益者のみなさまとともに、整斉と所定のリスクを取り続けてまいります。