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BUSINESS

<2020年12⽉を振り返って>⼭内英貴

 新年あけましておめでとうございます。

 2020年は世界史に残るような一年でした。そのなかで、株式市場は3月の急落から短期間に立ち直り、終わってみれば、世界的な金利低下とめざましい株高が続いています。

 テクノロジー銘柄が先導する株高ばかりでなく、ビットコインが9か月間で最大で8倍に急騰するなど、実態経済の厳しさから大きく乖離したような動き、バブルと思えるような動きもあります。

 資産価格高騰の背景はいろいろな方が解説されていますが、私なりの表現では、「政府と中央銀行が結託すれば、株価は上がる」の一言に尽きます。しかし、こうした株高にも寿命があり、ハイパーインフレや金融危機など手痛いしっぺ返しがどこかで待っていることは過去の経験からも自明です。だからこそ、中央銀行の独立性が重視されてきたのですが、人類共通の敵であるウイルスとの闘いを前にしては、そうした見解は封殺されるというのが実情ではないでしょうか。したがって、政策効果が息切れしたり、ディスインフレとゼロ金利という大前提がどこかで見直しを迫られるときには予期せぬ大きな変動が起こり得ると考えています。

 一方、新常態と称されるDX化(Digitalization)や、インターネット・ビッグデータを介した知の共有というトレンドは強固です。物理的な移動を伴うグローバル化は一時的に停滞したとしても、ソフトとしての知のグローバル化は持続的であり、新しい時代の成長の源泉となりそうです。また、バイデン政権が注力する脱炭素社会に向けたグリーン・テクノロジーももうひとつの起爆剤です。現下の株式市場や暗号資産の高騰は、世界の次なるステージを織り込もうとしている可能性もあります。

 2021年は「慎重なる楽観」という姿勢で臨みたいと思います。米ドルが基軸通貨としてグローバル経済の基盤だった40年間、米国FF金利(政策金利)は20%からほぼゼロ金利まで低下しました。米ドル長期金利は低下し続けていまやゼロ近辺で安定し、唯一の基軸通貨である米ドルの為替レートも近年は安定的に推移してきました。この両者の安定・均衡状態から動きが生じるとき、資産市場にも大きな影響が出てくるでしょう。

 今回もいつもの繰り返しになりますが、ダウンサイドにも一定の備えを持った所定のポートフォリオをブレずに維持し、予想外の動きが生じても動じない腰の据わった運用を継続し続ける覚悟が重要だと思います。本年もどうぞよろしくお願いします。