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BUSINESS

<2020年10⽉を振り返って>⼭内英貴

 米国大統領選挙を控えた10月は、欧米での新型コロナウイルス感染再拡大もあり、市場には警戒ムードが
強まりましたが、選挙後には不透明感が薄れたことに加えて、ワクチン開発への期待もあり、あく抜けした
かのように株式市場は各国で高値を更新しています。

 バイデン氏が、環境を中心に大規模な財政出動を掲げていることから、債券が弱含む一方、運用難にあえぐ
膨大な資金は株式市場に向かっています。そもそも米国大統領選挙後しばらくの蜜月期間はご祝儀相場が続
くという経験則もあり、市場参加者はバスに乗り遅れまいとしますし、大統領選挙が接戦だったことから、
リスク回避のためにいったんポジションを落としていた投資家の買戻しが誘発されたことで、一気に節目を
上抜けしてきたようです。

 結果の良しあしにかかわらず、米国大統領選挙という大きなマクロ・イベントを通過したことで、市場には
中期的な方向感が醸成されることになります。
トランプ時代からの大きな変更点としては、環境・エネルギー対策としての巨額の公共投資など、「大きな
政府」へ向かいそうだということです。財政赤字の拡大は、いずれは金利上昇(債券安)とドル安圧力とし
て顕在化してくる可能性が高いと思います。しかしながら、政府と中央銀行が一体となった、ゼロ金利と実
質的財政ファイナンスのパッケージは、「リスクをとってください」と慫慂する政策にほかならず、資金が
株式市場に向かいやすい構図はもうしばらく続きそうです。そして、その結果株高が進めば進むほど、その
反動が大きくなるリスクも高まります。

 長期投資の観点からは、引き続き、所定のポートフォリオを維持し、予想外の動きにも動じない腰の据わっ
た運用を継続してまいりましょう。