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BUSINESS

<2020年9⽉を振り返って>⼭内英貴

 9月1日の米国市場で、昨今の相場環境を象徴するようなことがありました。アップルとラッセル2000の時価総額が逆転したのです。ラッセル2000は、米国小型株運用のベンチマークで、簡単にいえば、時価総額上位1001位から3000位まで2000銘柄の時価総額の合計です。これが逆転してしまったということは、GAFAなど米国巨大IT銘柄への資金集中を象徴するような出来事でした。
 この日を境に、まるで一服感が出たかのように、コロナショック後の急上昇に調整が入りました。


 当ファンドは、9月25日に満5年を迎え、ビッグ・ピクチャーの見直しを行いました。このタイミングで、偶然にもコロナ禍が世界を襲い、それに対して未曾有の財政金融政策が繰り出されています。また、成長の果実を疑わなかったグローバル化も、その恩恵が平等ではなく、社会のいろいろな面での格差拡大という副作用が露呈しています。米中対立も、グローバル化の恩恵を最大限享受していると考えていた米国が、気が付いたらはるかに上手の中国が思いもしない形で頭角を現したことへの反作用かもしれません。

 コロナショックに対応する未曾有の政策対応を受けて、リターンを求める投資資金が世界中に溢れています。多くのリスクを認識しながらも、当面は政策と需給に乗っかり、みなで同じバスに乗る展開が続きそうですが、一歩引いてみると、いつ流れが変わっても不思議ではありません。

 当ファンドの最大の特徴はオルタナティブ戦略を本格的に活用している点です。今後は、オルタナティブ戦略の分散効果も視野に入れ、運用のさらなる改善強化に取り組んでまいります。

 最後に、先般お届けした5周年レポートのメッセージを改めてお伝えしたいと思います。

 この5年間で変わったことと変わらぬことがあります。大きく変わったのは、いうまでもなくグローバルな市場環境・運用環境です。一方、変わらぬことは、混沌とした環境だからこそ、分散と継続が何より大切だと考えられることです。長い道程ではうまくいくときも、そうでないときもありますが、所定の枠組みを堅持して、未来を信じて着実に歩を進めてまいりましょう。