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<2020年2⽉を振り返って>⼭内英貴

 金融市場は、COVID-19(新型コロナウイルスの正式名称)の世界的な感染拡大に伴い、大荒れの様相を呈しています。


 FRBは3月3日に緊急利下げ(0.5ポイント)を実施しましたが、市場は17日から予定されている定例会合での追加利下げも織り込んでいます。予想通りこれが実施されると、2008年以来の異例の金融政策対応となるため、市場はそのこと自体を不安視している面もあるようです。


 人類が協力して、いずれこの厄介な見えない敵を克服していくこと自体は疑いませんが、現時点で経済への影響度合いは測りかねます。2003年のSARSの例を引き合いにするなど、その影響は一時的で、収束とともにV字回復可能とする楽観的な見方が少なくありませんが、私は以下2つの観点から早計は禁物と考えています。


 第一に、ここ10年、世界で膨張した債務への影響です。収入が一時的に減少しても、債務の返済や利払いは待ってくれません。今回の経済活動の唐突な停滞が信用市場に波及しないよう、各国当局は政策対応に奔走していますが、一方で金利はすでに歴史的水準まで低下しており、伝統的な金融政策には限界があります。日本や欧州ではむしろ金融機関の経営に対する副作用が懸念されます。


 第二に、米国大統領選挙への影響です。前回は大方の予想を覆してトランプ政権が誕生しましたが、足許の混乱が現職への評価にどう響くのか。とくに、超富裕層対一般市民層、企業対勤労者といった構図で若い世代を中心に格差社会への反発が強まり、富の分配が争点となった場合、非常に長い目でみて、グローバル化時代の勝者だった株式(とくに米国株式)という資産クラスに影響が及ぶ可能性もないとはいえません。


 2008年グローバル金融危機を乗り越えるため、中国を含む各国は同じ方向を向いて対応してきました。リスクテイクを慫慂するため、金融を緩和し、財政を拡大した結果、政策目標通りではありますが、膨大な債務が累積しました。企業は金融緩和による潤沢な資金を背景に自社株買いを進め、財務レバレッジを活用して株主利益に貢献しました。2015年後半から16年にかけて、一度その限界が試されましたが、トランプ政権誕生によってかき消されました。その結果、最も恩恵を受けたのが米国株であり、長く安定した歴史的上げ相場が続いてきたのです。まさに米国株黄金時代ですが、米国民の過半はその経済的恩恵を必ずしも享受できていないとの調査もあります。


 もっとも、未来の正確な予見はだれにもできないというのが当社の立場です。


 その前提に立って、分散したポートフォリオを通じて適切なリスクを保持し続け、その対価として長期的にリターンを積み上げていくことを目指すのがGCIエンダウメントファンドです。2月はオルタナティブ戦略が比較的大きな株式買いポジションを保有していたため、十分なポートフォリオ下支え効果を発揮するには至りませんでしたが、2月末にモデルに基づき実施した毎月のリバランスで、よりリスクオフにも備える慎重なポートフォリオに調整されてきています。


 先月も申し上げましたが、市場のトレンドは永遠に続くことはなく、私たちは大小の調整局面を幾度となく経験してきました。記憶に新しい大幅な調整局面は、ITバブルの崩壊(2000年代初頭)と、グローバル金融危機(2008年)ですが、じつはこうした大幅な調整局面では一日や二日で一気に急落するわけではなく、むしろ反発を交えながら、時間をかけてダラダラと下落していく傾向があります。一晩でドスンと落ちるときには、むしろ物理の法則のごとく、すぐに反発することも多く、こうした動きは相場のノイズ(雑音)と称されます。


 GCIエンダウメントファンドが下落局面への備えとして組み入れているオルタナティブ戦略は、短期間の急落ではなく、上述の時間をかけた下落トレンドで効果を発揮する傾向があります。市場の動きが激しいと気になってしまいますが、日々のノイズに振り回されることなく、分散したポートフォリオを維持して、所定のリスクを粛々と取り続けてまいります。受益者のみなさんも、ぜひこのような環境でこそ、どっしり構えてください。

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