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資産運用の初心者のあなたへ。大きな下落に備えた資産運用を考えよう!

近年、資産運用を始められる方が徐々に増えてきているように感じます。新聞やニュースなどで資産運用に関連する記事が大きな話題となったことが背景にあるのではないでしょうか。日本人はあまりお金の話をしない、というのは有名な話です。しかし、私の周りでは久しぶりに集まった旧友との間で、日常や結婚の話題だけでなく、「資産運用始めたんだよね。」という話が出てくるようになりました。今回は私の旧友を含む、資産運用を始められた方々向けに、株価や投資信託の基準価額が大きく下落する際の向き合い方について考えてみたいと思います。

大きな下落とは?

そもそも大きな下落とは、対象とする資産が何%下落すると使われる表現なのか一般的な定義があるわけではありません。見る人によって、その基準は異なるのです。例えば1日で3%の下落という数字を基準に考えてみると、資産運用を始めたばかりの方からすると、とても大きいように感じるかもしれませんし、リスクを大きくとった運用をしている方からすると誤差の範囲内と考えるかもしれません。

有名な過去の下落の例は?

とは言え、多くの方がこれは大きな下落だ!という基準が一致した事例は存在します。そのいくつかをご紹介したいと思います。


①ブラックマンデー
1987年10月19日(月)に発生した米国市場の大暴落です。原因は米国の財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」であり、全世界中に影響が波及しました。当時のダウ工業株30種平均は、1日の取引で508ドル(22.6%)下落しました。


②アジア通貨危機
1997年7月からタイを中心にアジア各国に広がった経済危機です。タイの自国通貨である「バーツ」が大量に空売りされたことから、タイの中央銀行がバーツ買いの為替介入を行いました。しかし、ドルが枯渇し、バーツが対ドルで急落したことがきっかけとなり、アジア各国に影響が広がりました。


③IT バブル崩壊
1990年代前半から2000年代初期にかけて米国を中心に発生したハイテク株関連の株価が異常に急騰した後、バブルがはじけたことによる下落です。


④リーマン・ショック
2008年9月15日に米国の投資銀行である「リーマン・ブラザーズ」が経営破綻したことから始まった金融危機です。リーマン・ブラザーズはサブプライム問題などから経営が悪化し、経営破綻しました。その後、当該銀行社債を抱えていた大手金融機関などで、連鎖的な経営危機が発生し、経済への影響が発生しました。
リーマン・ショックは2008年と比較的最近の大きな下落なので記憶に残っている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

大きな下落に備えた運用手法とは

上述したような大きな下落に対して、有効な手立ては以下の2つの手法が挙げられます。
今回ご紹介する手法は大きな下落があった際でも、投資を継続するための手法です。


①つみたて投資
1つ目の方法として「つみたて投資」の考え方があります。つみたて投資とはタイミングに関わらず、毎日または毎月の一定日に一つの商品を一定金額で投資を続けるというものです。つみたて投資のメリットには、一定のスパンで定額を投資し続けることによる時間分散効果が期待できる点があり、時間分散効果は対象資産の値動きが大きいものでも、購入単価が均されるのでリスクを低減させることが出来ます。万が一、価格が下落した際でも、口数を多く購入することになるので、平均購入単価を下げ、対象資産が値上がりした際には収益を獲得しやすいという特徴もあります。また、一定のタイミングで自動的に購入することで市場がどのような時でも淡々と投資を続けやすくなります。


②ロング・ショート
2つ目の方法として「ロング・ショート」という考え方があります。この方法はヘッジファンドなどが得意とする運用手法であり、ロングとショートを組み合わせることで大きな下落の際にも、収益を獲得することを目指すものです。一般的な投資の手法と言えば、資産を安く買って、高く売るというロングのみの手法ですが、売ってから買い戻すというショートの手法を組み合わせることで、市場が上げ相場でも、下げ相場でも収益獲得の機会を作れるという考え方です。これによって、つみたて投資と同様にマーケットに左右されにくい運用が出来ますので、投資を続けやすくなります。

まとめ

いかがでしたか。リーマン・ショックのような日々、資産の価値が目減りしていくような状況では、まだ下がるのではないかと保有している資産を売却して、預金などの安全資産にお金を移す行動が見られました。売却時に利益が出ていればよいかもしれませんが、多くの方はこれ以上の損失を抑えたいという気持ちで売却したのではないかと思います。
しかし、よく言われることですが、後からチャートを見てみると、リーマン・ショックの震源地でもあった米国でも、株価は当時の水準を超え、過去最高を更新しています。「老後2000万円問題」をきっかけとして、20代で資産運用を始めた方が老後まで、投資を継続するということを前提にすると、これから約30~40年の運用を行うことになります。過去30年間だけ見ても記憶に残る大きな下落は上述のように4つあります。細かい下落を挙げるときりがありません。
長期投資には忍耐強さも大切ですが、「つみたて投資」や「ロング・ショート」などを組み合わせた資産運用を検討してみてはいかがしょうか。