<2024年7⽉を振り返って>⼭内英貴
7月は前月の流れを受けて、日米株価は市場最高値更新、ドル円は160台に乗せ、いずれも上値を探る展開でしたが、月央以降頭が重くなり、月末の日銀の利上げや米国利下げ観測を背景に8月初めにかけて急激な調整が入りました。
前月も申し上げた通り、米国の金融政策と大統領選挙というビッグイベントの行方と日銀の金融政策正常化への動きが引き続き注目されますが、とくに地域間で金融政策の方向性が一様でなくなっている点には留意したいと思います。162円台をうかがっていたドル円は一時20円近く急落した後、本稿執筆時点(8月13日)では140円台後半で推移していますが、頭は重くなりそうです。
市場の反転が急激だったことから、トレンドフォロー型のヘッジファンド戦略はドローダウンとなった一方、急速な円高に対してはヘッジが功を奏しました。短期的なトレンド転換にはトレンドフォローは苦戦する傾向がありますが、長期的には伝統資産との相関を抑えた形でポートフォリオに分散効果をもたらすことが期待されます。日米ともに、金融政策の行方次第で株式市場も短期的に影響を受けますが、インフレ的な経済環境下での株式は投資対象として最も魅力的な資産クラスです。債券への配分は、期待リスクを管理するために必要最小限にとどめ、インフレに強い株式と全天候型のヘッジファンドを牽引役とするポートフォリオとなっています。
引き続き、円ベースの期待リスク水準(成長型:年率8%、安定型:年率5%)を一定に保つ戦略ポートフォリオの原則を堅持し、さらにオルタナティブ投資を活用した分散の高度化により、リスク・リターンの最大化を目指してまいります。短期・中期の変動に振らされずに、変化し続ける環境にも右往左往することなく、グローバル経済の成長という果実を長期的に蓄えていく運用を徹底してまいります。