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BUSINESS

<2024年6⽉を振り返って>⼭内英貴

6月は前月に続いて、グローバル株式市場は上昇しました。特に、米国ハイテク銘柄がリードする展開が続いています。一方、米国の経済指標で5月のコアP C Eが3年半ぶりの低い伸びにとどまるなどインフレ鎮静化とそれに伴うFRBによる利下げ期待が再び台頭しました。


  年後半にかけて、米国の金融政策と大統領選挙というビッグイベントの行方と日銀の金融政策正常化への動きが引き続き注目されますが、とくに地域間で金融政策の方向性が一様でなくなっている点には留意したいと思います。

 総じて良好な市場環境を受けて、日本銀行の利上げ観測の影響から、軟調だった先進国株( 除く米国)と国内リートを除いて、ポートフォリオの各資産クラスはおおむねプラス貢献となりました。とくに、配分比率の高いヘッジファンドが今月もパフォーマンスを牽引しました。


 金融政策の先行きを巡って大きな振幅が続く米国と異なり、日本では35年来のほぼ一方的だった金融緩和政策からの脱却(正常化)が展望されており、円建債券は一貫して振るいませんが、当戦略では基本資産配分において円建債券への配分を行っておりません(ゼロ金利政策に伴い、配分をゼロに)ので、影響はありませんでした。当面は、円金利は上昇基調が見込まれますので、この方針は今後も継続です。また、ドル円相場は節目として意識された160円を抜けて相変わらず堅調です。日米金利差が大きいことから、為替リスクをとらない当戦略では、高いヘッジコストが悩みの種です。新NISAによる外貨資産への継続的な資本フローの拡大など、為替市場の需給に構造的変化が生じており、円安は長期化するとの見方が根強いですが、経常収支の不均衡や日米金利差の縮小など、ひとたび反対方向に動き出すと大きな調整につながる可能性は依然として小さくないと考えており、為替リスクは原則としてとらないというスタンスも継続しています。


 日米ともに、金融政策の行方次第で株式市場も短期的に影響を受けますが、インフレ的な経済環境下での株式は投資対象として最も魅力的な資産クラスです。債券への配分は、期待リスクを管理するために必要最小限にとどめ、インフレに強い株式と全天候型のヘッジファンドを牽引役とするポートフォリオとなっています。


 引き続き、円ベースの期待リスク水準(成長型:年率8%、安定型:年率5%)を一定に保つ戦略ポートフォリオの原則を堅持し、さらにオルタナティブ投資を活用した分散の高度化により、リスク・リターンの最大化を目指してまいります。短期・中期の変動に振らされずに、変化し続ける環境にも右往左往することなく、グローバル経済の成長という果実を長期的に蓄えていく運用を徹底してまいります。